過払い金返還民事訴訟【4】

過払い金の請求方法
過払い金返還民事訴訟【4】

どのように決着するか

和解と判決
過払い金返還訴訟は、次のような流れで進行します。
口頭弁論が2~3回行われると、双方の主張が出尽くし、裁判所から和解を勧められることが一般的です。
この訴訟においては、債務者側が勝つ可能性が高いため、貸金業者も和解に前向きになることが多いです。
通常、元金と過払い利息の合計の約8割で和解するのが一般的な目安で、和解が成立すると、双方は和解書を取り交わします。
その後、過払い金が返還されたことを確認し、債務者が裁判所に「訴えの取り下げ書」を提出することで、訴訟は終了します。
しかし、過払い金の額が大きい場合、業者が抵抗を示す可能性があり、和解が成立せず最終的には判決に至ることもあります。
特に、長期間の取引がある債務者では、完済した取引と現在の取引が一連と見なされるかについて意見の相違が生じ、長期化するケースも増えています。
判決が下されても、業者が異議を申し立て控訴することがあります(ただし、控訴は2週間以内に行う必要があります)。
このように、争いが長引く場合があることに注意が必要です。

判決にも限界がある
最近増加しているのは、裁判で過払い金の返還を命じる判決が出たにもかかわらず、貸金業者の経営状況により返還が難しいケースです。
裁判は解決手段の一つですが、それだけでは十分でない場合もあることを念頭に置いておく必要があります。
訴訟は時間と費用がかかり、当事者双方にとって大きな負担となるため、最良の方法は訴訟を避け、和解による解決を目指して交渉することです。

 

追 記

過払い金返還請求訴訟の和解と判決

和解とは
和解は関係者が裁判所の仲介や訴訟過程で合意し、支払うべき金額や期日などを決めて紛争を解決する方法です。
和解契約書にサイン・押印すると、その内容に基づいて貸し手は返還責任を果たし、原則としてそれ以上の請求はできません。
しかし、和解時に過払い金が存在することやその正確な額を把握していなかった場合、和解の効力が否定されることもあります。

判決とは
判決は訴訟を通じて裁判所が関係者の主張や証拠を審査し、過払い金返還請求の可否や返還額を決めるものです。
最終的に確定判決が出ると、貸し手には返還責任が法的に確定し、支払われない場合は強制執行などの手続きが可能になります。

まとめ
・和解は迅速・費用負担を抑えられるが、和解内容の不備や情報不足で「錯誤無効」とされるリスクがある。
・判決は争点を裁判所に委ねることで全額返還を狙えるが、期間が長く費用もかさむ。
・過払い金返還請求では、和解交渉に先立ち精密な利息計算と請求可能額の把握を徹底することが不可欠です。

 

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