交渉の記録を残す重要性
■電話での交渉には注意が必要
過払い金の返還交渉を個人で行う場合、貸金業者とのやりとりは一度で終わることは稀です。
何度も電話や文書でのやりとりが発生しますので、後に裁判に発展する可能性を考慮して、必ず文書で記録を残すことが重要です。
一部の悪質な業者は、記録が残らない電話を利用して債務者を脅すことがあります。
そのため、「今の話の内容をファックスかメールでいただけますか」とお願いし、証拠を残すようにしましょう。
この対応により、証拠ができるだけでなく、業者も無茶な発言をしにくくなります。
ただし、電話での内容と文書が異なる場合がありますので、文書をしっかり確認し、理解と異なる内容があれば抗議し、訂正を依頼しましょう。
■内容証明郵便を利用する
やりとりの証拠を残す方法として、ファックスが速いですが、郵便も内容証明郵便という特有の機能を持っており、状況に応じて使い分けて証拠として強力な手段になります。
内容証明郵便とは、郵便局が「どの内容の手紙」を「いつ」「誰が」「誰に」出して「いつ」届いたかを公式に証明するもので、裁判での証拠能力が高いです。
悪質な貸金業者は取引履歴開示の依頼書を受け取らなかったり、内容を否定したりすることがありますが、内容証明郵便で依頼すればそのような反論は不可能になりますので非常に効果的です。
【過払い金請求で交渉記録を残す主な理由】
1.証拠保全
・交渉のタイミングや当事者、内容を明確に記録することで、口頭でのやり取りだけではなく、未来の諍いも回避できます。
・書面、電子メール、メモに残すことで、訴訟や調停において有力な根拠となります。
2.返還額・条件の確認
・債権者が提示した返還金額や返済条件、利率などを正確に把握し、誤解や誤りを未然に防ぎます。
・交渉の進捗状況を時系列に沿って追跡し、最終的な合意案と照らし合わせることが容易になります。
3.交渉経過の管理
・交渉の進展や次回の行動方針を整理することで、漏れや重複を防ぎ、適切な対応が可能になります。
・同一内容を繰り返し問い合わせる手間を省き、債権者にも信頼を構築します。
4.消滅時効の中断・進行管理
・債権者との協議によって消滅時効を中断させる理由が発生した場合、その事実関係を記録しておく必要があります。
・時効期限の誤管理を防ぎ、請求権を確実に行使することができます。
5.再交渉・トラブル対応
・合意が後から変更された場合、その経緯を証明することで、再交渉やトラブルへの対応を円滑に行うことができます。
・債権者側の担当者変更や内部引き継ぎにも記録があると説明がスムーズになります。