免責許可が決定して、初めて借金がゼロになります
■免責許可決定
法人が破産手続きを行うと、その法人は解散し、債権者は責任を追及できなくなります。
一方、個人が破産手続きをした場合、個人としての生活は続くため、債務の責任が残りますので、個人の場合は「免責許可手続き」と呼ばれる申し立てをし、裁判所からの免責許可が確定することで、すべての債務から解放され、通常の生活を再スタートさせることが可能になります。
■同時廃止事件と管財事件
債務者が不動産や預金、株式、自動車などの一定の財産を持っていると、裁判所は破産手続開始決定と同時に破産管財人を選任します。
破産管財人には通常、弁護士が選ばれ、債務者の財産を売却して金銭に換え、全債権者にその債権額に応じて均等に分配します。
これを「管財事件」と呼びます。
破産管財人が選任された場合、債務者は財産を自由に使用・処分できなくなりますが、差押禁止動産については対象外で、各地方裁判所で設けられた換価基準もあるため、すべての財産を失うわけではありません。
さらに、管財事件は不動産などの売却に時間がかかるため、破産手続終了までに1年近くかかることもあります。
実際には、個人の自己破産者の多くは、債権者に配当できるような有価な財産を持っていないことが多く、破産手続きを進めても意味がありません。
その場合、破産管財人は選任されず、破産手続開始決定と同時に手続が終了します。
このようなケースは「同時廃止事件」と呼ばれます。
自己破産の具体的なメリットとデメリット
【メリット】
・弁護士が受任通知を送ることで、債権者からの電話や郵便などの督促が法的に停止され、精神的な負担が軽減される。
・裁判所から「免責許可」が下りれば、税金や養育費など一部を除き、ほとんどの借金の返済義務がなくなる。
・返済に追われる生活から解放され、生活費や将来のための貯金にお金を回せるようになる。
【デメリット】
・保証人がいる借金は、自己破産しても保証人に返済義務が移るため、事前の相談が不可欠。
・20万円以上の資産(不動産や車など)は原則として処分され、債権者への配当に充てられる。
・破産手続中は、警備員や保険外交員、士業など一部の職業に就けない期間がある。
・「ブラックリスト」に載り、5〜10年ほどクレジットカードやローンの利用が制限される。
・官報に氏名・住所が掲載されるため、周囲に知られる可能性はゼロではない。