若者が「後払い(BNPL)」にハマりやすい本当の理由
近ごろ、「あと払いペイ」「コンビニ後払い」「BNPL(Buy Now Pay Later)」などのサービスを利用する若者が急増しています。
一見すると、クレジットカードより気軽で便利な支払い方法ですが、その裏側には「依存しやすくなる条件」がそろっています。
1. 「お金」より「体験」を優先しやすいライフスタイル
今の若者は、モノより体験にお金を使う傾向が強いと言われます。
ライブ、推し活、旅行、推しのグッズ、ゲームの課金など、「今この瞬間を楽しむこと」が重視されがちです。
・「来月には給料(バイト代)が入るし、まあいいか」
・「友達との旅行は今しかないし、行かない方が損かも」
こうした価値観の中で、“お金が手元にあるかどうか”よりも、“体験を逃さないかどうか”が優先されやすくなります。
そこで登場するのが後払い。
今すぐ支払わなくても「とりあえず参加できる」仕組みは、若者のライフスタイルと非常に相性がいいのです。
2. スマホ一つで完結する「見えない支出」
BNPLや後払いサービスの多くは、スマホアプリ内で操作が完結します。
レジで財布を開けることもなく、カードを出す必要もありません。
・タップ数回で支払いが完了する
・画面上には「あと○円まで使えます」と“利用可能枠”が表示される
・利用履歴は細かく確認しない限り、目に入りにくい
このように、現金が減っていく“感覚的な痛み”がかなり弱まります。
「お金を払った」という実感が薄いまま、利用金額だけが積み上がっていくため、自分で気づかないうちに支出が膨らみやすいのです。
3. 「借金」のイメージから切り離されたマーケティング
従来の借金というと、「消費者金融」「ローン」といった、どこか重たいイメージがつきまといました。
しかしBNPLや後払いは、そのイメージをあえて消すようにデザインされています。
・「分割手数料0円」「後から支払い方法を選べる」
・「クレカいらず」「審査もカンタン」といったポジティブな訴求
・「借金」「債務」といった言葉はほぼ出てこない
結果として、実態としては“小さな借金の積み重ね”であっても、ユーザー側の感覚としては「便利な決済オプションを選んでいるだけ」という意識になりがちです。
借金をしている自覚が薄いからこそ、ブレーキがかかりにくくなります。
4. 収入の不安定さと「将来の自分へのツケ回し」
学生や社会人になりたての若者は、収入が安定していないケースが多くあります。
・シフト制バイトで、月によって収入が大きく変わる
・就職直後で給料は少ないが、必要な出費(引っ越し、スーツ代など)が多い
・奨学金の返済を抱えつつ、生活費もギリギリ
この状況で、「今はお金がきついけど、来月はなんとかなるだろう」という発想になりやすく、後払いが“とりあえずの逃げ道”として機能します。
しかし、翌月にはまた別の出費があり、さらに新たな後払いを使う……というサイクルにハマると、「未来の自分に借金を積み上げている」状態になりかねません。
5. クレカよりハードルが低い「小口の借金」だからこそ危険
クレジットカードは審査があり、親の同意が必要だったり、学生には作りづらかったりと、心理的・手続き的なハードルがありました。
一方で、多くのBNPLや後払いは、次のような特徴を持っています。
・年齢制限が比較的ゆるい
・少額利用から始められる
・「数千円からOK」といった小口での借金が可能
「1万円くらいなら大丈夫」「数千円だし問題ない」といった感覚で始めた小さな後払いが、複数サービスにまたがると、トータルで大きな金額になることも少なくありません。
借金の“入口”が軽いからこそ、気づいたときには返済が追いつかない状況になっている危険性があります。
6. SNSと「みんな使っている」という空気
若者の消費行動は、SNSの影響を強く受けます。
タイムラインには、友人やインフルエンサーが新しい服、ガジェット、コスメなどを次々と紹介しており、それらの多くが「後払いで買えます」「BNPL対応」といった形で案内されています。
・グループチャットで「あと払いでチケット取ったよ」という会話が普通に出てくる
・インフルエンサーが「クレカない人はBNPL便利だよ」と紹介する
・「今どき、後払いぐらい使ってるでしょ」という空気が生まれる
こうなると、後払いを利用することは「特別なこと」ではなく、「コミュニティの標準」になっていきます。
社会的な抵抗感がほぼ消え、「使わない方が少数派」という感覚すら生まれやすくなります。
7. 「後払い=悪」ではないが、「仕組み」を理解することが重要
誤解してはいけないのは、後払い自体がすべて悪いわけではない、という点です。
・急な出費に対応できる
・給料日前でも必要なものを購入できる
・分割によって家計の負担を調整できる
といったメリットも確かに存在します。
問題なのは、若者がその仕組みを十分に理解しないまま、「ただ便利だから」という理由で多用してしまうことです。
後払いは、言い換えれば「支払いの痛みを先送りし、見えにくくするしくみ」でもあります。
その構造を知っておくだけでも、
・月ごとの利用額をアプリや明細で必ずチェックする
・複数のBNPLサービスを同時に使わない
・「これは事実上の借金だ」と意識したうえで利用回数を絞る
といった、自分なりのルールを持ちやすくなります。
まとめ:自分のお金の使い方を「一歩引いて」見るクセを
若者が後払いに依存しやすい背景には、
・体験を重視する価値観
・スマホ決済による支出の“見えにくさ”
・借金感を薄めるBNPLの設計
・不安定な収入と将来へのツケ回し
・コミュニティの「みんな使っている」という空気
といった、いくつもの要因が重なっています。
だからこそ、「自分はいま、便利なサービスを使っているのか、それとも気づかないうちに借金を積み上げているのか?」と、少し距離を置いて考えてみることが大切です。
その一歩が、後払いと上手に付き合い、将来の自分を守ることにもつながっていきます。