投資・副業詐欺に巻き込まれて多重債務に陥るケース
投資や副業を装った詐欺の怖さは、「楽にお金が増える」「毎月〇万円の不労所得が手に入る」といった甘い言葉から始まりながら、気づいたときには返しきれない借金だけが手元に残っている点にあります。
しかも、最近は SNS や動画配信、オンラインサロン、投資コミュニティなどを通じて巧妙に近づいてくるため、「自分は情報リテラシーがあるから大丈夫」と思っている人ほど、逆に狙われやすい状況になっています。
投資・副業詐欺が「危険な借金」へ変わるまで
1. 信用させるための「演出された成功」
最初のステップでは、相手に「これは本物だ」と信じ込ませるための仕掛けが用意されています。
・体験談やスクリーンショットで利益をアピール
・「たまたま見つけた」「限られた人だけに教えている」と特別感を演出
・少額からの投資で、すぐに結果が出るように見せる
例えば、ある30代の会社員は、SNSで知り合った人物から「誰でも稼げる副業」「AIが自動で投資してくれるシステム」への参加を誘われました。
半信半疑で1万円を入金すると、数日後に「3,000円の利益が出ました!」と連絡があり、専用サイトの画面上にも利益が表示されていました。
このような「成功しているように見える仕組み」は、実際には詐欺グループが自由に操作していることも多く、「最初に勝たせる」のは典型的な手口です。
2. 「もっと増やせる」の言葉で、借金にブレーキが効かなくなる
次の段階では、少額の成功体験をもとに、より大きな投資を求めてきます。
・「今だけの特別枠」「この相場は滅多にない」と急がせる
・「みんなこのくらい入れている」と、他人の例を持ち出す
・貯金が足りない人には、借金をする方法まで教える
クレジットカードのキャッシング、カードローン、消費者金融、場合によっては家族名義のクレジットカードの利用など、「お金を用意する手段」まで細かく指示されるケースもあります。
前述の会社員も、「100万円入れれば、毎月10万円は固い」「借金してでも、今このチャンスを掴むべき」と説得され、気づけば複数社から合計100万円以上を借り入れていました。
「投資の利益で返済できるから、借金ではない」「働かなくても返せる」と思い込み、借りることへの抵抗が徐々に麻痺していったのです。
3. 出金できない現実:「トラブル」や「追加請求」で追い打ち
ある程度の金額が集まると、いよいよ本性が現れます。
・出金を申し込むと、「システムエラー」「口座凍結」などの理由で引き延ばされる
・「出金手数料」「税金」「保証金」など、名目を変えて追加の支払いを要求される
・それ以上支払わないと分かると、連絡が途絶える・ブロックされる
会社員のケースでも、「出金の申請ありがとうございます。ただいまシステム障害が発生しているため、解除のために10万円が必要です」と言われました。
そこで初めて不信感を覚えたものの、時すでに遅く、借金だけが残り、投資したお金も“画面上の数字”もすべて消えてしまっていました。
詐欺の結果としての多重債務、その後に待っている現実
投資や副業のつもりで始めたはずが、残ったのは多額の借金。そこから一気に生活は苦しくなります。
・毎月の返済額が増え、家賃や光熱費、食費を削らざるを得なくなる
・返済のために新たな借入を重ね、「借金で借金を返す」自転車操業状態になる
・睡眠障害や不安感、仕事への集中力低下など、心身への影響が出てくる
さらに厄介なのは、「自分が詐欺に遭った」という事実を認めるのがつらく、誰にも相談できなくなってしまうことです。
・周りから「なぜそんな話を信じたの?」と言われるのが怖い
・家族やパートナーに迷惑をかけたくないと、一人で抱え込んでしまう
・結果として、返済も詐欺の被害もどんどん深刻化していく
しかし本来、詐欺は相手の心理を巧妙についた犯罪であり、「騙された人の責任」だけで片付けられる問題ではありません。
「判断を誤った自分が悪い」と責め続けるより、早い段階で状況を整理し、専門機関に相談することがその後の生活を立て直す第一歩になります。
投資・副業を名乗る詐欺から身を守るためにできること
投資や副業自体が悪いわけではありませんが、「詐欺かどうかを見抜く視点」を持っておくことが非常に重要です。
次のようなポイントを意識してみてください。
1. 「必ず儲かる」「ノーリスクで毎月○万円」は、ほぼ詐欺
まともな投資で、損失ゼロを保証できる商品はありません。
「元本保証」「損失はありません」と言われたら、そこで一度立ち止まってください。
2. SNS・DM・知らない人からの誘いは、基本的に疑う
・実在の有名投資家や企業名を勝手に使っているケースもあります。
・プロフィールや実績が本物かどうか、複数の情報源で確認することが大切です。
3. 「少額で成功した」は、詐欺の典型パターンと知っておく
最初に1万円が1万3,000円になる、数日で数千円のプラスになる、といった体験は、あなたを信用させるための“エサ”かもしれません。
そこで安心して一気に金額を増やしたくなったら、いったん冷静になる必要があります。
4. 「借金してでもやるべき」という時点で、完全に危険ゾーン
まともな投資は、生活費や借金に頼ってまで行うものではありません。
・クレジットカードのキャッシング
・カードローン
・消費者金融
これらを勧められたら、それは「あなたを守る投資」ではなく、「あなたから搾り取るビジネス」です。
5. 不安や違和感を覚えたら、すぐに第三者へ相談する
・家族、友人
・消費生活センター
・弁護士会や法テラス、債務整理を扱う専門家
早い段階で相談できれば、返済方法の見直しや、詐欺被害としての対応など、取れる選択肢も増えます。
投資や副業は、本来であれば将来の安心や収入アップのために活用できる手段です。
しかし、そこに「楽して稼げる」「絶対に損しない」という言葉が加わった瞬間、詐欺グループにとって格好の入り口になります。
「自分だけは大丈夫」という思い込みを少しだけ脇に置き、
・本当に信頼できる話なのか
・借金をしてまでやる必要があるのか
・周りの人に相談しても同じ行動をとるだろうか
こうした問いを自分に投げかけるだけでも、危険な詐欺から距離を取れる可能性が高まります。
もしすでに被害に遭ってしまったとしても、一人で抱え込まず、借金や詐欺に詳しい専門窓口へ早めに相談することを忘れないでいてほしいと思います。