借金地獄を深くする「確証バイアス(Confirmation Bias)」という心のクセ
なぜ、ここまで借金が膨らんでしまうのか?
「どうして気づいたら、こんなに借金が増えていたんだろう」
多重債務や借金地獄に陥った人の多くが、後になってこう振り返ります。
そこには、単なる計算ミスや運の悪さだけではなく、
人間の思考のクセである「確証バイアス」が強く関わっています。
確証バイアスとはどんな心理か?
確証バイアスとは、
・自分が「こうであってほしい」と思っていること
・すでに信じている考え
を裏付ける情報ばかりを集めてしまい、
それと矛盾する不都合な事実や警告を、無意識に無視してしまう心理傾向のことです。
借金に関して言えば、
・「あとでなんとかなる」
・「昇給するはず」
・「このくらいの借金ならすぐ返せるはず」
といった“自分にとって都合の良いストーリー”だけを信じ込み、
それに合う情報だけを拾い集めてしまう状態です。
本人は真剣に考えているつもりでも、
現実をまっすぐ見る力が弱くなり、判断をゆがめてしまいます。
借金と確証バイアス:よくある落とし穴のシナリオ
たとえば、副業としてFXや仮想通貨、株式投資を始めたケースを考えてみましょう。
1. 最初の小さな成功
たまたま相場が上昇して少し利益が出ると、
「自分にはセンスがある」「このままやれば、借金なんてすぐ完済できる」と自信がふくらみます。
2. リスク情報を無視し始める
その後、損失が出はじめても、
「ここでやめたら損が確定してしまう」
「プロの投資家も一時的な含み損は経験している」
と、自分を正当化する材料だけを探し出し、
「自分には知識や経験が足りないのでは?」という不安からは目をそらしてしまいます。
3. 借金を前提にした「一発逆転」思考
「今ここでお金を増やせれば、借金返済も人生の逆転もできる」
そんな期待がふくらみ、
・カードローン
・消費者金融
・キャッシング
などで新たにお金を借りてまで投資資金を増やす決断をしてしまう人も少なくありません。
4. 雪だるま式に増える借金
相場が思うように動かず、損失が膨らむと本来なら撤退すべきところですが、
確証バイアスが強く働いていると、
「もう少し耐えれば戻るはず」「あと1回だけチャンスを…」
と、さらに追加で借金を重ねてしまうことになります。
こうして、借金は返済可能な範囲を超え、
気づいたときには「返しても返しても減らない借金地獄」に足を踏み入れてしまうのです。
確証バイアスが怖い本当の理由
確証バイアスが危険なのは、
「自分では冷静に考えているつもり」である点です。
・周りから見ると無謀に見える借金の増やし方でも、本人の中ではすべて筋が通っている
・「根拠のない楽観」と「現実的な見通し」の区別がつかなくなる
・警告してくれる家族や友人の言葉を、「心配性なだけ」と退けてしまう
このように、思考そのものがゆがんでいることに当人が気づけないため、
ブレーキがかからないままアクセルだけ踏み続けてしまう構図になります。
借金地獄から抜け出すために:バイアスに気づく3つのポイント
確証バイアスを完全になくすことは、人間である以上ほぼ不可能です。
しかし、「今、自分は確証バイアスにとらわれていないか?」と疑う習慣を持つことで、
借金の悪循環を断ち切ることはできます。
1. あえて「耳が痛い情報」に目を向ける
・収入が今後も本当に増える見込みはあるのか
・投資で損をした人の事例はどうなっているのか
・自分と同じくらいの収入・家計の人はどの程度借金しているのか
といった、「できれば見たくない現実」に目を向けることが、
確証バイアスから一歩抜け出すきっかけになります。
2. 感情ではなく「数字」で状況を確認する
感覚ではなく、紙やスマホに以下を書き出し、数字で把握してみてください。
・現在の借金の総額
・毎月の返済額と利息分
・手取り収入と生活費
・残せている貯金額
「なんとなく大丈夫そう」ではなく、
数字で見て返済が現実的かどうかを判断するクセをつけることで、
希望的観測に流されにくくなります。
3. 第三者の「外からの視点」を取り入れる
・家族や信頼できる友人
・ファイナンシャルプランナー
・自治体や法律事務所の無料相談窓口
といった第三者に、今の借金状況を包み隠さず話してみるのも有効です。
自分ひとりでは見えていなかったリスクや選択肢(債務整理、返済計画の見直しなど)に気づけることがあります。
お金の問題は「心の問題」でもある
借金の増加は、収入や支出といった数字の問題であると同時に、
・「自分だけは大丈夫だろう」
・「もう少し我慢すれば状況は好転する」
といった、心のクセから生まれる判断ミスの積み重ねでもあります。
確証バイアスを理解し、
「今の自分は都合の良い情報だけを信じ込んでいないか?」と問い直すことは、
借金地獄から抜け出すための重要な一歩です。
借金そのものだけでなく、
その裏にある「考え方のパターン」に気づき、修正していくことで、
同じ失敗を繰り返さない土台ができていきます。