個人再生を弁護士に依頼する際の流れ(6)

民事再生の手続き
個人再生を弁護士に依頼する際の流れ(6)再生計画に基づいて返済開始

再生計画に基づいて返済を始めるまでの具体的な流れ

1.再生計画の認可決定が確定する
まず、裁判所が提出された再生計画案を審査し、「この内容で個人再生を進めてよい」と判断すると「認可決定」が出されます。
その後、一定期間を経てこの認可決定が「確定」した時点で、初めて法的に返済義務が発生します。
ここで確定した再生計画が、今後の返済額・返済期間・返済方法の「公式なルール」になります。
以後は、原則としてこの計画に沿って借金を返済していくことになります。

2.弁護士と一緒に返済条件を最終確認する
認可決定が確定したら、担当の弁護士(あるいは司法書士)と面談や電話・メールなどで、次の点を一つずつ確認します。
・初回の返済開始日
・毎月の返済額
・返済回数・返済期間(原則3年、事情があれば最長5年)
・振込先や引き落とし口座など、具体的な支払方法

個人再生の手続き中に説明を受けている内容ではありますが、返済開始前に改めて確認しておくことで、「思っていたより返済額が多かった」「支払日を勘違いしていた」といったトラブルを防ぎやすくなります。

3.返済専用の口座を準備する
返済開始までに、再生計画の支払いに使う銀行口座を決めておきます。
実務上は、
・返済専用の口座を新たに用意する
・給料振込口座から、毎月決まった額を返済口座へ移す仕組みを作る

といった形にしておくと、生活費と返済資金が混ざらず管理しやすくなります。
毎月の返済額は、借金総額や収入状況をもとに計算されているので、「最低限この金額は必ず確保する」という意識で、給料日には早めに必要額を移しておくと安心です。

4.返済開始:初回の支払い
通常、再生計画の認可決定が「確定」してから、おおむね1か月前後で初回の返済が始まります。
例えば、
・3月に認可決定が出て
・4月に決定が確定し
・5月に第1回目の支払いが到来する

というようなイメージです。
支払期日や振込先をうっかり忘れてしまうと、初回から遅延になりかねません。カレンダーやスマホのアラームなどを活用して、「返済日を見える化」しておくと良いでしょう。

5.毎月の返済を計画通りに続ける
再生計画では、原則3年間(特別な事情があれば最長5年)の分割払いで借金を返済していきます。
この期間は、
・毎月の返済を最優先の支出と位置づける
・ボーナスや臨時収入があれば、生活防衛資金として一定額を貯めておく

といった工夫が重要になります。

完済までの道のりは長く感じるかもしれませんが、1回1回の支払いを積み重ねることで、確実に借金は減っていきます。弁護士と決めた再生計画を「生活の軸」として捉え、無理のない家計管理を心がけましょう。

返済開始後に注意したいポイント
返済が始まると、多くの方が「ようやく借金問題から抜け出せる」と感じる一方で、ここから数年間は計画通りに支払いを続ける必要があります。返済開始後に特に気をつけたい点をまとめます。
1.返済資金を最優先で確保する
個人再生で借金が減額されているとはいえ、毎月決まった額を支払っていくのは簡単ではありません。
・家計簿アプリなどで支出を「見える化」する
・固定費(通信費・保険料・サブスクなど)を見直す
・返済用口座に「先取り」でお金を移す

などの工夫で、返済資金を最優先でキープする仕組みを作ることが大切です。
返済額ギリギリの生活を続けるより、少額でも予備費を確保しておくほうが、突発的な出費があったときに計画が崩れにくくなります。
2.返済の遅れは「1回でも」避ける
再生計画に基づく返済で最も重要なのは、「遅延をしないこと」です。
数回続けて滞納した場合だけでなく、状況によっては1回の遅れでも、再生計画が取り消されるおそれがあります。
再生計画が取り消されてしまうと、減額前の借金に戻ってしまうリスクもあり、ダメージは非常に大きくなります。
支払いが難しそうだと感じた時点で、
・早めに弁護士に連絡する
・家計の見直しや一時的な対応策を相談する

といった行動が重要です。「何とかなるだろう」と放置するのが、最も危険なパターンです。
3.収入・生活状況が変わったときはすぐ相談
返済期間中に、次のような変化が起こることもありえます。
・転職や失業で収入が減った
・病気やケガで働けなくなった
・家族構成が変わり、生活費が大きく増えた

こうした事情が生じた場合、そのまま無理して支払いを続けようとしても、結果的に滞納に繋がってしまうことがあります。
個人再生では、状況によっては
・返済期間の延長
・返済条件の変更を求める申し立て

などの手段が検討できるケースもあります。
自己判断で返済を止めたり、放置したりせず、必ず弁護士へ現状を伝えたうえで、取れる選択肢を確認するようにしましょう。

4.完済後の「再生計画履行完了」の手続き
すべての返済を終えたら、そこで個人再生の手続きが完全に終了、というわけではありません。
完済後には、弁護士と相談しながら「再生計画の履行が完了した」という内容の書類を裁判所に提出し、正式に手続きを終えることになります。
この完了手続きまで終えることで、
・再生計画に基づく借金の支払い義務を果たしたことが、法的にも確認される
・以後の生活再建に向けて、より安心して動き出せる

といった状態になります。最後の一手間ではありますが、忘れずに済ませておきましょう。

個人再生は、借金問題を抜本的に見直し、生活を立て直すための強力な制度です。
ただし、「再生計画が認可されたら終わり」ではなく、「返済開始後の数年間をどう乗り切るか」が本当の勝負どころになります。

返済に不安があるときや、生活状況に変化があったときは、一人で抱え込まず、早めに弁護士に相談しながら進めていくことが、再スタートを成功させるための近道と言えます。

 

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