資格制限がある「自己破産」の具体例

自己破産の手続き
自己破産・デメリットの具体例(2)資格制限がある

自己破産を検討する際に、見落とされがちですが、とても重要なのが「資格制限」という問題です。
これは、自己破産の手続き中から免責決定が出るまでの間、一部の仕事や資格について「できることが制限される」というルールです。

どんな職業・資格が制限されるのか
代表的なのは、いわゆる「士業」と呼ばれる専門職です。
・弁護士
・司法書士
・税理士
・公認会計士
など
これらの資格を持っている人が自己破産を申し立てると、手続きが進行している間は、その資格に基づく業務を行うことができません。つまり、依頼を受けて仕事をしたり、事務所を運営したりすることを一時的にストップしなければならない場合があります。
また、士業以外にも、以下のような職種が影響を受ける可能性があります。
・警備員
・生命保険募集人
・宅地建物取引士(宅建士)
・旅行業務取扱管理者
など
例えば、不動産会社で宅地建物取引士として働いているBさんが自己破産を申し立てた場合、免責が確定するまでのあいだ、「宅建士としての重要事項説明」など資格を前提とする業務は行えなくなるおそれがあります。
会社によっては、そのあいだ別の業務に回してもらえないと、事実上、休職状態になってしまうことも考えられます。

ずっと働けなくなるわけではない
こうした資格制限は、あくまで「自己破産手続き中・免責決定前の一時的な制限」です。
・免責が認められれば、原則として資格制限は自動的に解除される
・自己破産をしたことだけを理由に、一生その仕事に就けないということではない

つまり、手続きが終わり、免責が確定すれば、再び資格を用いて同じ職種に復帰することが可能です。
一時的にキャリアが中断されるリスクはあるものの、「その道を完全に閉ざされる」わけではありません。

会社役員の場合の注意点
資格以外で気をつけたいのが、「会社の取締役・役員」としての立場です。
会社法上、破産手続き中の人は株式会社の取締役になることができません。そのため、
・中小企業の代表取締役をしている
・家族経営の会社で役員に名を連ねている

といった人が自己破産を申し立てた場合、役員を辞任しなければならない状況が生じることがあります。

例えば、Cさんが小さな会社の社長でありながら、自身が保証人になった借金の返済が困難となり、自己破産を選択したとします。
この場合、Cさんは破産手続き期間中は、会社の代表取締役として留まることができず、別の人に社長を譲る、あるいは役員を退任する必要に迫られるかもしれません。
経営者や役員として活動している人にとっては、これは事業の継続方針にも大きく関わる問題です。

自分の職にどんな影響が出るのか、事前確認が必須
このように、自己破産には「借金がゼロになる代わりに、一定期間、職業や資格が制限される」という側面があります。
特に、
・すでに有資格者として働いている人
・今後、士業や宅建士などの資格を取って働こうと考えている人
・会社の役員・経営者として活動している人

は、自己破産が自分のキャリアや収入にどの程度影響するのか、事前に把握しておく必要があります。
実際の影響は、
「どの資格・職業なのか」「勤務先の就業規則」「今後の働き方」
などによって大きく異なります。
弁護士などの専門家に相談すれば、
・自分の職業に資格制限がかかるのか
・手続き中、どの程度の期間・どの範囲で仕事が制限されるのか
・仕事や事業を続けたい場合、自己破産以外にどんな選択肢があるのか
といった点について、具体的なアドバイスを受けることができます。

経済的な再スタートと「一時的な不自由」
自己破産は、返済不能になった人が生活を立て直すための「最後のセーフティネット」といえる制度です。借金の負担から解放され、生活再建を目指せる一方で、
・一定期間、職業・資格に制限がかかる
・場合によっては仕事を一時中断せざるを得ない

といった現実的なデメリットも伴います。

そのため、メリットだけでなく、こうした「資格制限」を含むデメリットも理解したうえで、自分にとって本当に適した手続きなのかを見極めることが重要です。
制度の仕組みと影響をきちんと知ったうえで選択すれば、自己破産をきっかけに、より現実的な形で再出発の道筋を描くことができるでしょう。

 

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