「引き直し計算」は、借金に関する過払い金請求を行ううえで、土台となるとても重要な作業です。
ここで金額を正しく出せるかどうかで、その後取り戻せるお金が大きく変わってきます。
引き直し計算の基本的な流れ
過払い金請求では、次のような手順で「引き直し計算」を行います。
1. 「取引履歴の取り寄せ」
まず、貸金業者(消費者金融・クレジットカード会社など)に対して、これまでの借入と返済の全履歴を開示するよう請求します。
いつ、いくら借りて、どのタイミングでいくら返済したのかを、できる限り細かく確認するためのステップです。
2. 「利息制限法に従って再計算」
開示された取引履歴をもとに、法律で決められた上限金利(利息制限法に基づく15〜20%)にあてはめて、借金の残高を1回ごとに計算し直します。
以前は、グレーゾーン金利と呼ばれる高金利(例:年29%)で利息が設定されていたケースも多く、その部分をすべて「法定利率」に置き換えていきます。
3. 「法定利率を超える利息をカット」
法律の上限を超えていた利息分は、本来支払う必要のなかったお金です。
その違法な利息部分を差し引きながら、正しい借金残高を再構成していきます。
4. 「過払い金の発生額を確定」
再計算の結果、「本来支払うべきだった総額」よりも実際の支払額が多ければ、その差額が「過払い金」です。
どの時点からいくら過払いが発生しているのかを、具体的な数字として確定させます。
5. 「交渉や訴訟へ進むための資料にする」
弁護士は、この引き直し計算の結果を証拠として、貸金業者と過払い金の返還交渉を行ったり、話し合いで解決しない場合は裁判(訴訟)を提起したりします。
引き直し計算は、いわば「請求額の根拠」となる重要なデータです。
「引き直し計算」とはどんな作業か
引き直し計算とは、ざっくり言えば「間違った高金利で計算されていた借金を、法律どおりの金利に修正して、支払い過ぎを洗い出す作業」です。
例えば、かつて年29%の金利で借入をしていたとします。
しかし、利息制限法では借入額に応じて上限が決まっており、たとえば100万円以下なら年18%が上限です。
この場合、
・実際:29%で計算されていた
・本来:18%で計算されるべきだった
という差が生まれます。
この差を、取引の初めから完済まで、あるいは現在の残高がなくなるまで時系列で丁寧に計算し直すことで、「本当ならいくら残っているはずの借金だったのか」「いくら払い過ぎていたのか」が、はっきりと数字で見えてきます。
この「払い過ぎた分」こそが、過払い金として請求できるお金です。
引き直し計算で注意すべきポイント
引き直し計算を正確に行うには、いくつか気をつけるべき点があります。
1. 取引履歴は「全部」そろっているか
過去の取引が10年以上にわたるケースも多く、古い時期の履歴が一部欠けていることがあります。
貸金業者によっては、意図せずに、または意図的に、途中からの履歴しか開示してこないこともあります。
しかし、最初の借入時点からの情報がなければ、「いつから過払いが始まっていたのか」「どこまで遡って請求できるのか」を正しく判断できません。
弁護士は、開示された履歴に不自然な欠落や矛盾がないかをチェックし、不足がある場合は追加開示を求めたり、自分の手元の契約書や領収書、通帳の記録などから情報を補ったりします。
2. 完済していても過払い金が出ている可能性
「すでに借金は完済しているから関係ない」と思ってしまいがちですが、むしろ完済している場合のほうが、長期間払い続けた結果として過払い金が多額になっているケースもあります。
引き直し計算をすると、「完済した時点より前に、実は残高がゼロになっていた」ことが判明することも少なくありません。
そのため、完済して何年も経っている借金でも、過払い金請求の時効(通常、最後の取引から10年)にかかっていなければ、計算し直す価値は十分にあります。
3. 専門知識と専用ソフトが必要になることも
引き直し計算自体は、電卓と紙でもやろうと思えば不可能ではありませんが、取引回数が多いと膨大な手間と時間がかかります。
さらに、
・途中で金利が変わっている
・複数の契約が並行して存在する
・一部のみ返済して借り直している
といった複雑なケースになると、一般の方が正確に計算するのは非常に難しくなります。
弁護士事務所では、過払い金請求に対応した専用の計算ソフトやノウハウを使い、利息制限法や判例に沿ったかたちで、正確な引き直し計算を行います。計算ミスがあると、過払い金の請求額が少なくなったり、逆に貸金業者側から反論されたりするリスクが出てしまうため、専門家によるチェックは大きな安心材料になります。
弁護士に引き直し計算を任せるメリット
過払い金請求を考えている方にとって、「引き直し計算から弁護士に依頼すること」には次のような利点があります。
・取引履歴の開示請求から任せられるため、自分で貸金業者とやり取りする負担がない
・法律に基づいた正確な引き直し計算により、本来請求できる過払い金を最大限に把握できる
・計算結果を踏まえたうえで、貸金業者との交渉や訴訟まで一貫して対応してもらえる
・時効や手続きの期限を見落とすリスクを減らせる
まとめ:過払い金請求のスタートは「正確な引き直し」から
借金の過払い金請求をスムーズに進めるためには、「最初の引き直し計算をどれだけ正確に行うか」が非常に重要です。
ここで誤差が出てしまうと、本来取り戻せたはずのお金を十分に回収できないおそれがあります。
「自分にも過払い金があるかもしれない」と感じた段階で、弁護士に相談し、取引履歴の取り寄せと引き直し計算からサポートを受けることで、より有利で安心な手続きにつながります。