安易な妥協は避けつつ柔軟な思考が求められる
■業者の甘い言葉に注意
「過払い金返還請求通知書」が貸金業者に送付されると、業者から連絡があります。
多くの場合、「0円で和解しませんか」とか、「過払い金の50%を支払うことで和解しませんか」といった不当な和解案が提示されます。
業者は「裁判は弁護士費用や時間がかかるので、この辺りで手を打ちませんか」と説得してきまが、このような提案は債務者に不当な妥協をさせようとするものであり、簡単に受け入れてはいけません。
過払い金の全額返還は債務者の正当な権利であり、民法で定められた5%の金利を加えることも可能ですので、業者の不当な和解案には毅然とした態度で対峙することが大切です。
■場合によっては業者の和解案も検討
ただし、和解案がまとまらずに裁判になった場合は、費用や時間がかかるのも事実です。
その場合人によっては、その状況が許容できないこともあるでしょう。
そういった際には、過払い金の金利を交渉の材料として、「金利分を請求しない代わりに過払い金を全額返してほしい」と業者に逆提案することも一つの選択肢です。
このあたりは自身の事情を考慮しつつ弁護士と相談することで、現実的かつ最良の提案を得られるでしょう。
和解案が成立した場合、返還金額や返還期日、返還口座を記載した合意書を作成し、双方が署名捺印して、返還期日に返還口座に振り込まれれば、過払い請求は完了です。
和解案がまとまらず、交渉が決裂した場合は、訴状を作成し裁判の準備に入ります。
【和解案を検討する際のポイント】
1.カット率の適正性
・元本・利息から幾らまで削減されているかを確認します。著しく低い場合(たとえば20%以下など)は、交渉の余地があります。
2.利息支払いの有無
・任意交渉では、業者側が利息を全く付けないケースがよく見られますが、一方で法廷利率(5%)での請求が認められる可能性があります。
3.清算規定の内容
・和解後に「今後、いかなる請求も認めない」と規定されると、過払い金が過小に算定されていても、追及することが制約されるおそれがあります。
4.和解手続きの法的効力
・裁判外和解は訴訟より手続きが簡便で、和解成立から実際の支払いまで1~3ヶ月程度で解決できる場合があります。
5.不履行リスクへの備え
・業者が返済を怠る場合は、改めて訴訟を起こすか、強制執行を行う必要があります。