自己破産を弁護士に依頼する際の流れ(2)

自己破産の手続き
自己破産を弁護士に依頼する際の流れ(2)債権者に受任通知を発送するタイミングに注意する

自己破産を弁護士に依頼すると、手続きの入り口として多くの場合「受任通知」の発送が検討されます。
受任通知とは、「今後は弁護士が窓口になります」ということを債権者に正式に知らせる書面で、通常は督促や取り立て電話が止まる重要な役割を果たします。
ただし、「いつ送るか」「どこに送るかを誤ると、思わぬ不利益につながることがあるため、慎重な判断が必要です。

1 受任通知を出す前に確認したい差押え・強制執行のリスク
給与や預金の差押え、住んでいる家の強制競売などが差し迫っている場合、受任通知のタイミングは特にシビアになります。
差押えが目前のときに安易に通知を出すと、
・「弁護士がついた=回収が難しくなる」と判断した債権者が、逆に差押えを急ぐことがあります。
・すでに裁判や支払督促、仮差押えなどが進んでいないか、事前に弁護士と一緒に確認しておくことが大切です。
・場合によっては、裁判所への手続き(強制執行の停止申立てなど)を検討しつつ、受任通知の出し方・順番・時期を調整することもあります。

「とりあえず早く送ってもらえば安心」と思いがちですが、状況によっては、送る前に全体の戦略を立てることが不可欠です。

2 家族・職場に知られたくない場合の注意点
自己破産自体は、家族や勤務先に必ず知られるわけではありませんが、受任通知の扱いによって情報が伝わってしまう可能性があります。
・債権者によっては、勤務先を把握しており、勤務先宛てに連絡を入れたり、書面を送ったりすることがあります。
・自宅に郵送される書類の宛名や封筒の表記によって、同居家族に不審に思われることもあります。

そのため、
どの債権者に、どの住所宛てで通知を出すのか
電話連絡が来るとすれば、どこにかかるのか
について、弁護士と細かく確認しておくことが重要です。
家族や職場への知られ方を最小限に抑えるための工夫(郵送先、連絡方法の指定など)は、事前に相談しておきましょう。

3 公共料金・携帯電話など「止まると困る契約」への影響
受任通知を送る相手の中には、生活に直結する契約先も含まれます。
電気・ガス・水道・携帯電話・インターネット回線などがその代表例です。
・受任通知が届くと、「債務整理中」と判断され、サービスが一時停止されたり、契約自体が解除されたりすることがあります。
・通信費を滞納している場合、携帯電話が解約されると、機種代の分割払いも一括請求となることがあり、以後の新規契約が難しくなるケースもあります。

日常生活の維持に関わるため、
「どこに通知を出すか」「先に乗り換えや名義変更をしておくべきか」などを検討したうえで、代替手段(プリペイド携帯、他社回線の契約など)を準備してから受任通知を送るのが望ましいです。

4 保証人がいる借金に対する配慮
ローンや賃貸借契約などで保証人がついている場合、受任通知は保証人にも大きな影響を及ぼします。
・債権者は、あなたに対する回収が難しくなると判断すると、保証人に対して本格的な請求や督促を始める可能性があります。
・保証人がまったく状況を知らないまま突然請求を受ければ、人間関係のトラブルに発展しかねません。

そのため、可能であれば、受任通知が発送される前に、
「自己破産を検討していること」「今後保証人に請求がいくおそれがあること」
を説明し、理解を求めておくのが理想的です。
どう説明すべきか不安な場合には、その点も弁護士に相談しておくとよいでしょう。

5 財産処分との関係――通知後は勝手に動かせなくなる
受任通知が発送され、破産手続きに進むことが前提となると、財産の扱いにも制限がかかってきます。
・破産手続きの前後で財産を動かすと、「財産隠し」や「偏った弁済」とみなされ、免責不許可の原因になるおそれがあります。
・特に車の売却、生命保険の解約・解約返戻金の受取り、高額な動産の処分などは、タイミングによって評価が変わります。

今後どうしても売却や解約をしたい財産がある場合は、
「通知前に済ませるべきか」「そもそも処分してよいのか」を、必ず弁護士と相談したうえで進める必要があります。
受任通知後は、自己判断で財産を動かさないことが基本です。

6 「いつ送るか」を弁護士と一緒に設計する
受任通知の発送は、自己破産に向けた大きな一歩であると同時に、
「生活への影響」や「債権者の動き」を左右するスイッチでもあります。
・差押えの有無や裁判手続きの進行状況
・家族・職場への知られ方
・ライフラインや通信環境の維持
・保証人との関係
・財産の処分計画

これらを総合的に見渡したうえで、
「どの債権者に、どの順番で、いつ受任通知を出すか」を弁護士とじっくり検討することが重要です。

急いで通知を出すことが有利なケースもあれば、準備を整えてからの方が結果的にダメージが少ないケースもあります。
焦らず、しかし手続き自体は先送りにしすぎないよう、専門家と相談しながら、最適なタイミングを見極めて一歩ずつ進んでいきましょう。

 

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