結婚して扶養者が多い人にとって有利な制度です
■利用できる人の条件
給与所得者等再生手続を申請するためには、前述の小規模個人再生手続の条件に加え、「継続的収入の変動幅が小さい」と見込まれることが必要です。
この変動幅は、過去2年間の年ごとの年収の変動が20%以内である必要があります。
ただし、転職や再就職などの理由で変動幅が20%を超える場合は、例外として認められます。
■返済しなければならない金額
給与所得者等再生手続では、債権者への支払額は次の3つの金額のうち最も高い金額を支払う必要があります。
①最低弁済基準額
②自己破産した場合の清算価値保障に基づく、債権者に配当される見込額
③債務者の可処分所得の2年分
③の可処分所得は以下の計算式で算出します。
可処分所得 = 収入 – (税金 + 社会保険料 + 生活維持費)
この可処分所得を算出する際の生活維持費は最低限の生活を基準にした金額を参考にします。
そのため、扶養者が少なく年収が高い人ほど可処分所得は増え、多くの場合小規模民事再生を選択するよりも返済額が多くなることがあります。
また、給与所得者等再生手続では再生計画が認められなかった場合、7年間再申立ができません。
このため、一般的には給与所得者等再生手続よりも小規模個人再生手続の方が有利と考えられます。
【給与所得者等再生手続のメリット】
債権者の同意が不要なので交渉の難航を避けられ、手続きの進行がスムーズです。
自宅や車など、生活に必要な財産を手放さずに済む場合が多く、手続きが始まると追加の利息が発生しなくなります。
再生計画が認可されれば、借金の一部が免除されるので負担が軽減され、返済額や期間が明確なので生活の安定を図りやすいです。