狂い始めた生活

奈落のいきさつ
奈落のいきさつ ③

初めてサラ金で「15万円」借り、飲み屋のツケ「5万円」を払って、残りの「10万円」は返済に充てるつもりでした。
ところが「自分はいつでも借りられるんだ」という、これまで味わったことのない妙な安堵感が生まれてしまい、
ついつい衝動買いをしたり、友人との飲み代などで「10万円」はすぐに消えて行ったのです。

それから、あれよあれよという間に借金の返済期日が迫って来ました。
返済に充てるつもりの「10万円」を使ってしまった私は、仕方なく別のサラ金に借りに行くことにしましたが、初めて利用したサラ金の近くにある大手のA社を選びました。(余談ですが、サラ金の入口が目立たない雰囲気でひっそりしているのは、利用者を不用意に通行人の目に触れさせない等、プライバシー保護のためらしいです)

出向いたA社の受付で借金の申込書類を渡してから、10分も経たないうちに審査が終わり、戻ってきた女子社員がこう言い放ちました。
「お客様のご希望額は10万円でしたが、審査の結果、今回の限度額は50万円ですのでお貸し致します」と、契約書と「50万円」をポンとカウンターに置いたのです。(今でもその時の情景を鮮明に覚えていますが、その「50万円」は新札ではなく古い紙幣だったので、札束の厚みが通常の倍くらいありました)

私は「マジ?!」と、一瞬まごつきながら、断るすべも無かったので「50万円」を受取ってしまいました。
必要な金額「10万円」だけを借りようと思っていたのに、実際には余分な資金「50万円」が与えられ、「使えるお金」が増えたことで、何が本当に大きな金額なのか、何がちょっとした金額なのかという感覚がずれてしまいました。
それに、サラ金から「こんなに借りられるんだ」という実感を持ってしまい、自分が本来必要だった以上の額を使っても良いという錯覚に陥り、余分な資金を手に入れたことで、それ以降は金銭感覚がおかしくなってしまったのです。
 

 

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