特定調停のメリットをイメージしやすいように、具体例を交えながら別の角度から説明してみます。
「もう無理かもしれない」から始まった一歩:特定調停を選んだBさんの具体例
私の知人Bさんは、クレジットカードのリボ払いと消費者金融からの借入れが重なり、気づけば毎月の返済だけで給料の半分近くが消えていく状態になっていました。
督促の電話が怖くて仕事中も落ち着かず、「このままでは生活そのものが破綻してしまう」と追い詰められていました。
自己破産という選択肢も頭をよぎったものの、
・「できるものなら、借りたお金はきちんと返したい」
・「家族に知られずに立て直したい」
という気持ちから、ほかに方法はないかと相談してきました。
そこで候補に挙がったのが「特定調停」という手続きでした。
特定調停とは何か?かんたんに整理
特定調停は、簡易裁判所を通じて、借金をしている人(債務者)とお金を貸している会社(債権者)が、返済条件を見直すために話し合う制度です。
・手続きの舞台:簡易裁判所
・間に入る人:裁判所から選ばれた調停委員(法律やお金の問題に詳しい人)
・目的:今の収入や生活状況に合った「現実的な返済計画」を作り直すこと
当事者同士だけでは感情的になりがちな話し合いも、裁判所が間に入ることで、冷静で公平な話し合いになりやすいという特徴があります。
メリット1:利息や返済条件を見直し、月々の支払い負担を下げられる
Bさんのケースでは、リボ払いと高金利のキャッシングが負担の大きな原因でした。
特定調停の手続きを始めた結果、次のような合意がまとまりました。
・将来の利息を原則カットしてもらい、
・残っている元本を、数年かけて分割で返済するプランに変更
これによって、毎月の返済額がかなり抑えられ、ぎりぎりだった家計に少しずつ余裕が生まれました。
このように特定調停には、
・今後の利息を減らしたり止めたりできる可能性がある
・返済期間を延ばし、月々の返済額を無理のない水準に調整できる
といったメリットがあります。
表面的に「借金をなくす」わけではありませんが、「返しきれない負担」を「返せる現実的な額」に変えていくイメージです。
メリット2:自己破産を避けつつ、きちんと返済して再スタートを切れる
債務整理と聞くと、まず自己破産を思い浮かべる方も多いですが、自己破産には次のようなデメリットもあります。
・一定の財産を手放さなければならない場合がある
・資格制限がかかる職業・資格がある
・「借金をゼロにする」という心理的なハードルが高い
これに対して特定調停は、「返済すること」を前提にした話し合いです。
Bさんも、「できれば自分の力で返しきりたい」という思いを大切にしながら、現実的な落としどころを探すことができました。
そのため、
・自己破産までは踏み切りたくない
・できる範囲で誠実に返済しながら生活を立て直したい
という人にとって、特定調停は前向きな選択肢になり得ます。
メリット3:費用を抑えやすく、自分で動き出すことも可能
債務整理には弁護士に依頼する「任意整理」などもありますが、弁護士費用がネックになることがあります。
一方、特定調停は、裁判所に支払う費用が比較的低く抑えられているのがメリットです。
Bさんは、
1. 簡易裁判所で申立て用紙をもらう
2. 借入先ごとの残高や取引履歴を整理する
3. 窓口で書き方のアドバイスを受けながら、申立書を自分で作成
という流れで、自力で手続きをスタートしました。
わからない部分は裁判所の窓口で教えてもらえたため、「裁判所」という言葉のイメージほど、手続きは難しくなかったようです。
もちろん、書類作成や交渉に不安がある場合は、司法書士や弁護士に相談した上で特定調停を進めることもできます。
「まずは費用をあまりかけずに状況を改善したい」という人には、特定調停のメリットは大きいといえます。
特定調停を検討するときに知っておきたいポイント
特定調停には多くのメリットがありますが、万能な制度ではありません。
たとえば、
・安定した収入がまったくないと、分割返済の計画そのものが立てづらい
・手続き中も、原則として生活費は自分でやりくりする必要がある
・信用情報機関に登録されるため、一定期間は新たな借入れやクレジットカード作成が難しくなる
といった点もあります。
そのため、「特定調停が自分に合っているかどうか」を判断するには、現状の収入・支出や借入状況を整理し、弁護士や司法書士などの専門家に一度相談してみるのも有効です。
特定調停は「やり直すためのスタートライン」
特定調停の手続きを経て、Bさんは今、無理のない返済額でコツコツと返済を続けています。
「返せないかもしれない」という不安から解放されたことで、仕事にも集中できるようになり、少しずつ将来の目標を口にできるようになりました。
特定調停は、借金問題そのものを一瞬で消してくれる魔法ではありません。
それでも、
・冷静な第三者(裁判所・調停委員)が間に入り、
・生活を立て直せる現実的な返済計画を一緒に作り、
・自分の力で再スタートを切るための道筋を示してくれる
という意味で、大きなメリットのある制度だといえます。
もし、今まさに返済に行き詰まり、「この先どうすればいいのか」と悩んでいるなら、
一人で抱え込まず、「特定調停」という選択肢があることを知ったうえで、早めに情報収集や相談をしてみてください。
それが、状況を変える第一歩になるはずです。