個人の民事再生は主に二つの種類があります。任意整理がうまくいかなかった場合、民事再生や自己破産を選択することになります。自己破産では自宅や自動車といった高価な資産を手放さなければならず、破産期間中に特定の職業に就けない制約もあります。そのため、これを避けたい人々は民事再生を選ぶことが多いです。民事再生は企業再建を目的とした制度ですが、個人再生の手続きも特例として規定されています。
概要として、総債務額を法律で定めた金額まで減額し、3年(最大で5年まで延長可能)で返済していく方式です。具体的には以下の二つの手続きに分かれます。
1.小規模個人再生手続
主に個人事業主を対象とし、条件を満たす場合にはサラリーマンや公務員、農家も利用可能です。 条件は次の通りです。
① 住宅ローンを除く借金の総額が5,000万円以下
② 将来的に安定して収入を得る見込みがあること
この手続きでは、法定の最低弁済基準額(借金を20%から最大90%減額)と清算価値(自己破産時に債権者に分配される金額)のいずれか高い方を返済します。ただし、債権者の過半数と債権額の過半数以上の反対がないことが条件です。
2.給与所得者等再生手続
小規模個人再生手続きの利用が可能で、かつ収入の変動が少ない人向けの制度です。前述の最低弁済基準額と可処分所得(過去2年分の収入から法令で定められた最低生活費、税金・社会保障費を差し引いた金額)のいずれか高い方を返済します。この手続きでは債権者の同意は必要ありません。
民事再生は、事業再建や債務整理の有力な手段である一方で、再生計画の策定、債権者との調整、手続きに伴う費用や運営上の制約、さらには重要資産の処分など、検討すべき点が多岐にわたります。
これらの注意点を事前に把握し、現実的な経営改善策と法的手続きの整合性を確認することが、再生計画の成立と無事な事業継続に繋がります。
また、民事再生の成功には最新の法律知識や判例を理解しておくことも重要です。具体的な事例や専門家(弁護士)への詳細な質疑を通して、手続き全体の流れやリスク管理の方法についてさらに掘り下げると、より適正な対策が講じられるでしょう。