取引明細を紛失した場合でも心配はありません
■業者には開示義務があります
貸金業者からの借入が何年前に始まったとしても、契約書や取引明細を手元に持っていなくても、業者に借金の取引履歴を請求できます。この権利は法律で認められており、貸金業者は拒否や虚偽の回答をすることはできません。また、金融庁のガイドラインでは、取引履歴を開示しない業者には営業停止や登録取り消しといった厳しい処分が科されることが明示されています。
実際の開示請求は、貸金業者に「取引履歴開示依頼書」を郵送することから始まります。書留郵便や内容証明郵便を利用することで、開示されない場合の損害賠償請求の証拠が残ります。取引履歴の開示は通常、請求から1〜2カ月で行われます。
■開示に応じない業者がいる場合
もし開示に応じなかったり、一部の履歴しか送ってこない業者がいる場合、過払い金(法定金利を超えて不当に徴収された金利)が発生している可能性があります。このような業者には再度請求しますが、それでも開示しない場合は、財務局や都道府県庁の金融課に「行政指導と行政処分を求める申告書」を送付すれば、速やかに開示を行うでしょう。
一部の業者が取引履歴の開示請求に対して「0円和解」を提示することもあります。
これは、残債を請求しない代わりに契約を無効にしようというもので、一見ありがたい提案に思えますが、過払い金を隠そうとする意図が見え隠れしますので、安易に受け入れてはいけません。
正確な取引履歴を手に入れることが重要です。
過払い金請求の際の「0円和解」とは
「0円和解」とは、債権者(貸金業者)が過払い金請求の交渉段階で「過払い金は発生していない」「支払うべき金額は0円」と主張し、そのまま「債権者に何も払わず、債務者も請求を放棄する」という内容の和解契約を持ちかけることを指します。
裁判になれば、計算や証拠の積み上げで過払い金が認められる可能性が高いため、交渉で早期打ち切りを狙う戦術ですので、むやみに妥協せず、専門家(弁護士)に依頼し全面代理で訴訟を起こすのが安全です。