【個人再生で守るべき大原則】
すべての債権者を「同じ土俵」に乗せるという考え方
個人再生は、返済が難しくなった借金を法律の力で大幅に減らし、その残額を原則3年(事情によっては最長5年)かけて分割で払っていくための手続きです。
この制度を利用するうえで、もっとも重要なルールのひとつが「債権者を不公平に扱ってはいけない」という点です。
言い換えると、「この相手には手続きを使うけれど、この相手は別扱いにしたい」というような「えこひいき」は許されません。
個人再生を申し立てるときは、原則として、あなたにお金を貸しているすべての相手をリストアップし、その人たちをまとめて手続きの対象にする必要があります(一部、法律上の例外はあります)。
例:誰が「債権者」になるのか
たとえば、Bさんに次のような負債があるとします。
・消費者金融X社:100万円
・クレジットカード会社Y社:50万円
・親からの借入金:30万円
・スマホ端末の分割代金:10万円
Bさんが個人再生を申し立てる場合、これらはすべて「債権者」として扱われ、再生計画に組み込まれます。
ポイントになるのは、親や兄弟など「身内」も、法律上はほかの金融業者と同じ「債権者」とみなされるということです。
「家族だから別枠」「情があるから優先して返したい」といった感情面は理解されつつも、手続きのうえでは一律に扱われなければなりません。
「親だけは別に返したい」はなぜ認められないのか
多くの人が悩むのが、家族や親しい友人からの借金の扱いです。
・「親には迷惑をかけたくないから、親からの借金は個人再生に入れず、内緒で全額返したい」
・「カード会社には減額してもらうけれど、友人には約束通り満額返したい」
こうした考えは、人としては自然ですが、個人再生のルールからするとNGになります。
特定の債権者だけを手続きから外したり、「この人には多く返す/早く返す」といった優遇をすると、「債権者平等の原則」に反すると判断されてしまうからです。
もしこの原則に反する内容の再生計画を作ってしまうと、裁判所が計画を認めてくれず、せっかくの個人再生が失敗に終わるおそれがあります。
さらに悪質だと見なされれば、「財産や債権者を隠していた」と評価され、手続きそのものに支障が出ることもあります。
とはいえ、すべての支払いが対象になるわけではない
一方で、「どんな支払いでも個人再生で片づけられる」というわけではありません。
法律上、「非減免(非免責)債権」と呼ばれる、減額の対象にならない種類の支払いがあります。
代表的なものとしては、
・所得税や住民税などの税金
・国民健康保険料・年金保険料などの社会保険料
・一部の罰金や養育費など
といったものが挙げられます。
これらは、再生計画に組み込んで減額してもらうことができず、個人再生とは別に、原則どおり支払っていかなければなりません。
そのため、個人再生を検討する際は、「どの支払いが減額の対象になるのか」「どれは別枠で払い続ける必要があるのか」をきちんと整理することが重要です。
手続き成功のカギは、「隠さない・漏らさない」こと
個人再生は、借金問題をリセットするためではなく、「現実的に払える範囲まで減らし、きちんと完済を目指す」ための制度です。
その前提として、あなたの財産状況や債権者の一覧を、裁判所や専門家に正確に示すことが求められます。
・親や知人からの借金をあえて申告しない
・一部のクレジットカード会社だけ名簿から外す
・「少額だから」とスマホ分割代金などを申告しない
こうした「ごまかし」は、後で必ず問題になります。
手続きの途中で発覚すれば、再生計画が認可されない可能性があり、手続き終了後に判明した場合でも、債権者とのトラブルや追加請求につながることがあります。
不安があるときは、早めに専門家へ相談を
「親からの借金をどう扱えばいいのか」
「どこまでを“債権者”として申告すべきなのか」
「税金や保険料があるけど、個人再生と両立できるのか」
こうした判断は、自分ひとりでは難しい部分が多くあります。
実際の運用や裁判所の考え方には地域差もあるため、インターネットの情報だけで自己判断するのは危険です。
弁護士や司法書士など、個人再生に詳しい専門家に相談すれば、
・あなたの債務状況の整理
・対象にすべき債権者の洗い出し
・税金など例外債権への対応方法
といった点を具体的にアドバイスしてもらえます。
個人再生は「すべてを正直に開示し、透明な手続きで再スタートを切る」ことを前提とした制度です。
川の水が澱みなく流れるように、隠し事のない情報の流れをつくることが、生活再建への最短ルートにつながります。