元金も圧縮できる「個人再生」の具体例

民事再生の手続き
個人再生・メリットの具体例(1)元金も圧縮できる

借金問題で苦しんでいると、「利息だけでもなくなれば…」と考える方は多いと思います。
しかし、個人再生という手続きでは、利息がカットされるだけでなく、「借金そのもの(元金)をグッと減らすこと」が可能です。
これがいわゆる「元金圧縮」と呼ばれる仕組みです。

個人再生で元金が圧縮される仕組み
個人再生は、「裁判所を通じて、借金を法律上減らしてもらう手続き」です。
任意整理のように、債権者(お金を貸している側)1社1社と直接交渉するのではなく、裁判所の関与のもとで一括して整理します。

任意整理との大きな違い
任意整理:各債権者と話し合い、将来利息をカットしてもらうなどの和解を目指す手続き。
→ 元金は基本的にそのままであることが多い。

個人再生:裁判所に申立てをして、「法律で決められた基準」に沿って、元金自体を減らしたうえで返済計画を立てる。
→ 債権者の個別の同意がなくても、一定の条件を満たせば大幅に借金を減額できる。

このように、個人再生は「元金圧縮」を前提とした手続きである点が、他の債務整理と大きく異なります。

返済は原則3年・最大5年の分割払い
個人再生では、減額後の借金を「原則3年、状況によっては最長5年」で支払っていきます。
・通常は3年(36回払い)で返済計画を作成
・病気や収入減など特別な事情がある場合、5年(60回払い)まで延長が認められることもある

つまり、「借金総額を減らす」+「返済期間をあらためて組み直す」ことで、毎月の返済額を無理のないレベルまで下げていくイメージです。

どのくらい元金が圧縮されるのか
個人再生でどのくらい借金が減るかは、次のような要素で変わります。
・借金の総額
・保有している財産(預金、車、不動産、保険の解約返戻金など)
・個人再生の種類(小規模個人再生・給与所得者等再生 など)
目安として、「最大で借金額が5分の1程度になるケース」もあります。

もちろん、すべての人が必ず5分の1になるわけではありませんが、「元金そのものをカットできる」という点が、個人再生の大きな特徴です。

具体例:借金総額500万円のケース
例えば、次のような状況を考えてみましょう。
・クレジットカードのリボ払い:200万円
・消費者金融からの借入:300万円
合計:500万円の借金

この方が個人再生を利用した場合、条件が整えば、
・最低弁済額:100万円(=500万円の5分の1)
となることがあります。
つまり、
・500万円 → 100万円に元金圧縮
・カットされる金額:400万円

というイメージです。

月々の返済イメージ
100万円を3年(36回)で返済する場合:100万円 ÷ 36回 = おおよそ月約2万8千円
これまで毎月の返済に追われていた方でも、これくらいの金額であれば、生活を立て直しながら返済計画を継続しやすくなります。

個人再生で元金圧縮をするメリット
個人再生には、単なる「利息カット」を超えた、いくつかの大きな利点があります。

1. 返済総額を大幅に減らせる
・利息だけでなく、元金そのものが減るため、
「最終的に支払う総額」が大きく下がります。
・長期的にみると、家計への負担が大きく軽減されます。

2. 自己破産を避けながら借金を整理できる
個人再生は、「自己破産をせずに借金を減らして完済を目指す」制度です。
・自己破産だと、一定以上の財産は原則処分される
・個人再生なら、条件によっては持ち家や車、ある程度の預貯金などを維持しつつ、借金の整理が可能

特に「家を手放したくない」「車が生活に必須」という方にとって、個人再生は現実的な選択肢になり得ます。

3. 職業制限がほとんどない
自己破産の場合、一部の職業(士業、警備員、保険外交員など)では、一時的に仕事が制限されることがあります。
一方、個人再生には、原則としてそのような職業制限がありません。
・現在の仕事を続けながら借金を整理したい人
・資格や仕事を守りつつ再スタートを切りたい人

にとって、大きな安心材料となります。

個人再生を利用する際の注意点
メリットが多い一方で、個人再生にはいくつかの条件やデメリットもあります。

1. 継続的な収入が必要
個人再生は、「減額された借金を計画通りに返済していけるか」が重要です。
そのため、
・給与所得や事業収入など、定期的な収入があること
・家計の収支から見て、無理のない返済額になっていること

が求められます。収入が極端に不安定な場合や、まったく収入が見込めない場合は、手続きが認められないこともあります。

2. 官報に名前が掲載される
個人再生を利用すると、その情報が「官報」という国の機関紙に掲載されます。
一般の人が日常的に官報をチェックすることはほとんどありませんが、ゼロではないため、
・完全に秘密の手続きにしたい
・官報に載ること自体に抵抗がある

という方は、この点を理解しておく必要があります。

3. 住宅ローン特則を使えば家を残せる場合も
個人再生には、「住宅ローン特則」という特別なルールがあります。
これを利用すると、
・住宅ローンはこれまで通り支払いを続ける
・住宅ローン以外の借金だけを個人再生で減
額する
ということが可能になるケースがあります。
ただし、
・ローンの名義
・住宅の名義
・返済状況(延滞がどの程度あるか など)

といった細かな条件を満たす必要があるため、事前に弁護士や司法書士などの専門家と十分に確認しておくことが大切です。

個人再生を検討するときは、弁護士への相談がおすすめ
個人再生は、「裁判所を通す正式な法的手続き」であり、書類や計画案の作成も複雑です。
また、借金総額・収入・財産の状況によって、「本当に個人再生がベストなのか」「任意整理や自己破産のほうが向いているのか」は人によって異なります。
そのため、
・債務整理に詳しい弁護士に相談する
・場合によっては司法書士に依頼する

といった形で、専門家と一緒に進めるのが一般的です。
初回相談を無料としている法律事務所も多いため、「自分のケースでどのくらい元金圧縮が可能なのか」を具体的にシミュレーションしてもらうとよいでしょう。

まとめ:個人再生は「やり直し」のための現実的な選択肢
個人再生は、借金の元金を大きく圧縮し、無理のない返済計画を立て直すための制度です。
・利息だけでなく元金も減らせる
・自己破産を避けつつ、一定の財産や職業を守りやすい
・裁判所の手続きであり、弁護士のサポートがあると安心

借金で日々追い詰められている状況から抜け出し、生活を立て直すための有力な方法のひとつと言えます。
もし今、返済が限界に近いと感じているなら、一度立ち止まって、個人再生を含めた債務整理の選択肢を弁護士や司法書士などの専門家に相談してみることをおすすめします。

 

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