債権者を選ぶことができる「任意整理」の具体例

任意整理の手続き
任意整理・メリットの具体例(3)債権者を選ぶことができる

任意整理の特徴のひとつに、「どの借金を対象にするかを自分で選べる(債権者選択可)」という点があります。
自己破産や個人再生のように、原則としてすべての債権者を手続きに巻き込む方法とは性質が異なり、任意整理ならではの柔軟さと言えます。

任意整理は「全部」ではなく「一部」だけでもできる
任意整理は、弁護士や司法書士があなたの代わりに債権者と話し合い、
・将来利息のカット
・返済期間の延長

などを求めて、毎月の返済負担を減らしていく手続きです。

大きなポイントは、手続きの対象にする債権者を選べることです(債権者選択可)。
つまり、すべての借入先を任意整理に含める必要はなく、負担が大きいところだけをピンポイントで整理することが可能です。

「具体例:車のローンは残して、消費者金融だけ任意整理するケース」
たとえば、次のような状況を考えてみます。
・クレジットカード会社A:30万円(ショッピング利用)
・消費者金融B:70万円(キャッシング)
・自動車ローンC:100万円(車のローン)

Aさんは仕事や生活のために車が欠かせないので、「自動車ローンを整理対象にすると車を失うかもしれない」と心配しています。
このような場合、任意整理で
・消費者金融Bだけ
・あるいは消費者金融Bとクレジットカード会社Aの2社だけ

を対象にすることができます。

自動車ローンCは任意整理の対象から外すことで、これまで通り支払いを続け、車を維持することが可能になります。
このように、任意整理は「守りたい契約はそのまま残しつつ、負担の大きい借金だけ調整する」という使い方ができるのが大きなメリットです。

任意整理で債権者を選ぶことのメリット
任意整理で債権者選択可であることには、次のような利点があります。
1. 生活に必要な契約を維持しやすい
・車のローン
・家賃の引き落としに使っている銀行口座
・仕事でどうしても必要なクレジットカード

など、「途切れると生活や仕事に大きな支障が出る契約」は対象から外す、といった判断がしやすくなります。

2. 返済計画を自分の生活に合わせて組み立てられる
返済が厳しくなっている高金利の消費者金融だけ任意整理を行い、
金利や負担の比較的軽い借金はそのまま返済する、というように、バランスを取りながら計画を立てられます。

3. 家族や職場に知られにくい
自己破産などと比べると、任意整理は比較的周囲に気づかれにくい債務整理方法です。
とくに、整理の対象としない債権者からのカードやローンについてはこれまで通り利用できる場合もあり、
・給与振込口座
・職場が関係する金融機関

を手続きから外すことで、通知や影響を抑えやすくなります。

注意点:信用情報への登録や返済義務は残る
一方で、任意整理には次のような注意点もあります。
1. 信用情報には「任意整理」の記録が残る
任意整理を行うと、信用情報機関に「債務整理をした」という情報が登録されます。
これは任意整理の対象としなかった債権者にも共有されるため、
・新たなローン審査
・クレジットカードの新規発行・更新

などに影響が出る可能性があります。

2. 対象外の債権者への返済は続けなければならない
任意整理で手続きするのは、あくまで「対象として選んだ債権者」に対しての借金だけです。
対象にしなかった借入先については、これまで通りの約定どおり返済を続けなければなりません。
全体の収支バランスを考えずに一部だけ任意整理してしまうと、かえって資金繰りが厳しくなることもあるため、慎重な検討が必要です。

3. すべての債権者が必ずしも応じてくれるわけではない
任意整理はあくまで「任意の交渉」です。
金融機関によっては、利息カットや返済条件の変更に応じてくれない場合もあります。
どの債権者を整理対象とするかを決める際には、その債権者の対応方針も踏まえて考えることが重要です。

任意整理は「自分で流れをデザインする」ための手続き
任意整理は、借金問題を一括でリセットするというよりも、
「どの部分を見直し、どの部分を今のまま維持するか」を自分の事情に合わせて選べる手続きです。
・車や家などの資産をできるだけ守りたい
・家族や職場に知られにくい方法で返済を立て直したい
・まずは負担の重い借金だけを何とかしたい

こうした希望がある方にとって、債権者選択可である任意整理は有力な選択肢になり得ます。

とはいえ、
・将来のローン利用への影響
・家計全体の見直し
・他の債務整理(個人再生や自己破産)との比較

など、総合的な判断が欠かせません。

任意整理が本当にあなたに合った方法かどうかを見極めるためにも、
弁護士や司法書士などの専門家に一度相談し、債権者の選び方も含めてシミュレーションしてもらうことをおすすめします。

 

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