借金を抱える人の中には、「自分の意思で決めたつもり」なのに、実は周りの空気に流されていただけ、というケースが少なくありません。その背景にあるのが「バンドワゴン効果」という心理です。
バンドワゴン効果とは何か?
バンドワゴン効果とは「多くの人が選んでいるものほど、正しく見える・安心してマネしたくなる」という心理現象です。
・人気商品だから買う
・行列ができている店だから並ぶ
・「みんなが持っているから」同じブランドを欲しくなる
こうした行動の裏側に、バンドワゴン効果があります。多数派に乗ることで、「自分の選択は間違っていない」という安心感を得られるためです。
なぜバンドワゴン効果が借金を増やすのか
このバンドワゴン効果は、借金の場面でも静かに働きます。
例えば、ネット広告やニュース記事でこんなフレーズを見かけることがあります。
・「スマホ代も家電も、今どきは分割払いが常識」
・「若者の多くがクレジットカードでキャッシュレス生活」
・「住宅ローンは資産形成の第一歩」
こうした言葉が繰り返されると、
「みんな借金してるなら、自分もやるのが普通なんだ」
「借金は当たり前の時代なんだ」
と、心理的なブレーキが緩みやすくなります。
さらに、
・SNSでローンで買った新車やマイホームを自慢している投稿
・分割払いで高額なブランド品を手に入れた報告
・「奨学金は借りて当然」という空気
こうした情報に日々触れていると、借金に対するハードルがどんどん下がり、「借金=リスクのある契約」ではなく、「普通のライフスタイルの一部」のように錯覚してしまうのです。
「みんなやっている」は本当に“みんな”なのか
バンドワゴン効果に振り回されないためには、「みんな」という言葉をそのまま信じないことが重要です。
・その「みんな」は、どのくらいの人数・割合なのか
・その人たちは、どれくらいの収入・貯金・家族構成なのか
・同じような仕事・生活環境・将来設計をしている人なのか
たとえば、同じ住宅ローンでも、
・頭金をしっかり貯めてから借りている人
・ボーナス払いを前提にギリギリの金額を組んでいる人
・そもそも親からの援助がある人
では、リスクの重さがまったく違います。それでもまとめて「住宅ローンはみんな組んでる」と言われると、「自分も同じようにできるはずだ」と思い込んでしまいがちです。
自分の借金は「自分の条件」でしか判断できない
借金を検討するときに、本当に見るべきなのは「多数派かどうか」ではなく、
・自分の収入と支出のバランス
・失業や病気など、不測の事態が起きたときに返せるか
・借金をしてまで手に入れたい価値があるのか
・今借りる以外の選択肢(待つ・規模を下げる・中古にする等)はないのか
といった「個別の条件」です。
バンドワゴン効果に流されると、こうした冷静な検討を飛ばして、
「みんな大丈夫そうだし、自分も大丈夫だろう」
という根拠の薄い安心感だけで借金の契約をしてしまいがちです。
流れに乗る前に、一度立ち止まる習慣を
バンドワゴン効果は、悪いことばかりではありません。多くの人が利用しているサービスには、それなりの利便性や信頼性がある、という側面もあります。ただし「借金」のように、長期間にわたって自分の生活を縛るものについては、流れに身を任せるだけでは危険です。
・「今、この借金がなくても生活は成り立つか?」
・「将来の自分が、この借金を後悔しないと言い切れるか?」
・「“みんなやってるから”以外の、借りる理由を説明できるか?」
こうした問いを、自分自身に投げかけてみてください。
群衆の流れに乗るのは簡単ですが、そこから一歩離れて全体を見渡すと、
「自分は本当にこの借金をする必要があるのか」
という視点が戻ってきます。
借金とバンドワゴン効果の関係を知っておくだけでも、「なんとなくみんなに合わせた結果、返済に苦しむ」というリスクを減らすことができます。流れに乗るかどうかを決めるのは、最終的にはあなた自身です。