借金が消える「自己破産」の具体例

自己破産の手続き
自己破産・メリットの具体例(1)借金が消える

自己破産で「借金が消える」について、わかりやすく解説します。

1. 自己破産とはどんな制度か
自己破産は、返済のめどがまったく立たなくなった人を、法的に「借金の支払い義務から解放する」ための救済制度です。
裁判所に申し立てを行い、審査のうえで「免責(めんせき)」という決定が出れば、多くの借金は支払わなくてよい状態、すなわち「借金ゼロ」の状態になります。
ポイントは次の2つです。
・自己破産の申立て=借金が自動的に消える、ではない
・裁判所が「免責許可」を出してはじめて、返済義務がなくなる

つまり、自己破産は「返せない人を罰する制度」ではなく、「返せない状態から立ち直るための最後のセーフティネット」と言えます。

2. 自己破産で「借金が消える」までのイメージ
もう少しイメージしやすいように、流れを追ってみます。
1. 収入が減ったり病気になったりして、返済ができなくなる
2. 弁護士や司法書士に相談し、自己破産が適切かどうかを検討
3. 裁判所に自己破産の申立てを行う
4. 裁判所が、家計の状況や借金の原因などを調査
5. 問題がなければ「免責許可決定」が出る
6. 決定が確定すると、多くの借金の返済義務がなくなる(=借金ゼロ)

この「免責」が認められるかどうかが、自己破産の一番のポイントです。

3. ケーススタディ:大阪市在住Bさんの場合
大阪市で一人暮らしをしているBさん(仮名)は、勤務先の業績悪化で残業代がほとんどつかなくなり、手取りが大きく減りました。
生活費をカード払いでしのぐうちに、気づけばクレジットカード・消費者金融あわせて約300万円の借金に。
・毎月の返済額:約8万円
・家賃・食費・光熱費を払うと、ほとんど手元に残らない
・延滞が増え、督促の電話も毎日のようにかかってくる
・眠れない・食欲がないなど、精神的にも追い詰められる

限界を感じたBさんは、法テラスを利用し、弁護士に相談。
収入・支出・資産の状況を整理した結果、「任意整理では返済の見通しが立たない」と判断され、自己破産の申立てをすることになりました。

申立てから数か月後、裁判所から「免責許可決定」が出され、Bさんの300万円の借金はすべて法的に帳消しに。
現在は生活保護を受けながら、就職活動に向けて体調を立て直しているところです。
このように「自己破産によって借金ゼロとなり、生活再建のスタートラインに立つ」ことができます。

4. 「借金が消える」とは法律的にどういうことか
「借金が消える」「借金ゼロになる」といっても、帳簿から数字が消えるわけではありません。
法律的には、次のような状態を指します。
・あなたの支払い義務がなくなる
・債権者(貸した側)は、法的に「返せ」と請求できなくなる
・取り立ての電話や督促状は止まる
・給与や預金の差押えが行われていた場合は、原則として解除される

つまり、「債務者としてのあなたは、過去の借金から解放される」ということです。

5. 自己破産しても消えない借金
とはいえ、すべての負債が完全に消えるわけではありません。
法律で「免責されない」とされているものもあります。
代表的なものは次のとおりです。
・所得税・住民税などの税金
・国民健康保険料・年金保険料などの一部の公的負担
・養育費・婚姻費用(子どもや配偶者の生活を支えるお金)
・故意や重過失による損害賠償(詐欺・悪質な交通事故など)
・罰金などの刑事上の金銭的負担

これらは、自己破産をしても原則として支払い義務が続きます。
「自己破産すれば、どんなお金もすべてリセットされる」というわけではない点には注意が必要です。

6. 自己破産の主なデメリット
自己破産には大きなメリット(借金ゼロによる生活再建)がある一方で、デメリットも存在します。
代表的なものは次のとおりです。
・一定期間、クレジットカードやローンが組めなくなる
・信用情報機関に、いわゆる「事故情報」が登録されるため
・官報という国の公的な刊行物に氏名・住所が掲載される
・持ち家や高額な自動車などの資産は、原則として処分される
・資格制限がかかる職業が一部ある(破産手続き中のみ)

ただし、
・家電・家具・衣類・ある程度の現金など、日常生活に必要なものは手元に残せる
・賃貸マンション・アパートなら、そのまま住み続けられることも多い
・資産がほとんどない人は、「同時廃止」という手続になり、比較的スムーズに進むケースも多い

といった側面もあります。
「すべてを失う」「路頭に迷う」といったイメージは、実際には誤解であることが多いです。

7. 自己破産は「人生の終わり」ではなく、再出発のスタート
日本では、「自己破産=人生終了」「社会的な信用を一生失う」といったイメージがいまだに根強くあります。
しかし、自己破産は法律で認められた、公的な生活再建の制度です。
・返せない借金を抱えたまま心身をすり減らす
・闇金に手を出してしまう
・滞納や差押えを繰り返しながら、生活が崩れていく

こうした悪循環に陥る前に、法的手続を使っていったんリセットし「借金ゼロの状態から生活を立て直す」という選択肢を持つことは、決して恥ずべきことではありません。

8. 一人で抱え込まず、まずは相談を
「返済が苦しい」「もう返せないかもしれない」と感じているなら、
まずは以下のような専門家や機関に相談してみてください。
・弁護士・司法書士
・法テラス(収入に応じて無料相談や費用の立替制度あり)
・自治体の法律相談窓口 など

相談したからといって、必ず自己破産をしなければならないわけではありません。
任意整理や個人再生など、ほかの債務整理の方法が合う場合もあります。

水は、器に合わせて形を変えるからこそ、どんな場所にもなじみます。
人生も同じように、状況に応じて選択肢を変え、柔軟に立て直していくことが大切です。
自己破産は、そのための「ひとつの道具」にすぎません。
追い詰められる前に、一度立ち止まって、「今の自分にとって最善の手段は何か」を専門家と一緒に考えてみてください。

 

関連記事

弁護士の探し方

TOP
CLOSE