任意整理を弁護士に依頼する時の流れ(4)

任意整理の手続き
任意整理を弁護士に依頼する時の流れ(4)引き直し計算を行い返済計画を立案

利息制限法にもとづく「引き直し計算」と「返済計画立案」の全体像

1. 取引履歴の開示と利息制限法による再計算
まずは、消費者金融やクレジット会社など、各貸金業者から「取引履歴(借入・返済の記録)」を取り寄せます。
この履歴を前提に、次のように「利息制限法の上限金利」までさかのぼって計算し直します。
・元本10万円未満:年20%
・元本10万円以上100万円未満:年18%
・元本100万円以上:年15%

これを超える金利で支払っていた利息は、本来は「法律上認められない部分」です。
そこで、当初の契約どおりの高金利ではなく、利息制限法の範囲内で計算し直す作業が、いわゆる「引き直し計算」です。

2. 過払い金の把握と元本への充当・返還請求
引き直し計算の結果、
本来払う必要のなかった利息」を多く払いすぎていた場合、それが「過払い金」です。
弁護士は、この過払い金を次のように扱います。
・まだ借金が残っている場合
過払い分を「元本の返済に充てる」ことで、残債務を減らす
・すでに完済している、または過払い分が残債を上回る場合
貸金業者に対して「過払い金返還請求」を行う
こうした手続きを通じて、当初の請求額から「借金残高が大きく減る」ことも少なくありません。

3. 正確な残債務額の確定
引き直し計算と過払い金の精査が終わると、ようやく「本当の借金の額」が見えてきます。
任意整理で重要なのは、「今、いくらを、どの業者に、どのような条件で返していくのか」を正確に把握することです。
この段階で弁護士は、各業者ごとに
・元金の残額
・将来利息をカットできるかどうか
・返済回数の目安

などを整理し、返済計画立案のための土台を作ります。

4. 収入・支出のヒアリングと返済可能額の算出
次に、依頼者本人の「生活状況を細かくヒアリング」します。
たとえば、次のような項目を確認します。
・毎月の手取り収入(給与・ボーナス・年金など)
・家賃や住宅ローン、光熱費、通信費
・食費や教育費、医療費、保険料
・他に抱えている借金の有無 など

この聞き取りをもとに「毎月いくらまでなら無理なく返済に回せるのか」を具体的な数字として割り出します。
ここをあいまいにすると、返済計画が机上の空論になり、数カ月後に再び延滞してしまうおそれがあります。
そのため、弁護士は「生活費として最低限必要なお金」を確保しながら、「現実的な返済可能額」を見極めていきます。

5. 3〜5年程度で完済できる返済計画立案
任意整理では、一般的に「3年〜5年程度で完済」できるプランを目標にします。
引き直し計算で確定した残債務額と、毎月の返済可能額を照らし合わせながら、
・返済期間(回数)
・月々の返済額
・将来利息をゼロにできるか
・一部減額の交渉余地があるか

などを検討し、「具体的な返済計画スケジュール)」を組み立てます。
この「返済計画立案」は、単に数字を並べる作業ではなく、
このプランなら、最後までやり切れるか?」という視点で、生活の実情とすり合わせていく作業です。

6. 引き直し計算・返済計画で注意すべきポイント
① 取引履歴が欠けている場合のリスク
取引履歴に抜けがあると、正確な引き直し計算ができず、
・本来あるはずの過払い金を見落としてしまう
・残債務額を正しく算出できない
といった問題が生じます。
履歴が不完全な場合は、追加開示を求める、手元の明細書などを確認するなどして「できる限りデータを補うこと」が重要です。
② 過払い金請求には「時効」がある
過払い金は「最後にその業者と取引した日から10年」が経過すると、
原則として「時効により請求できなくなる可能性」があります。
長年取引していた業者がある場合は、早めに弁護士に相談し、時効が迫っていないかを確認してもらうことが大切です。
③ 「払える額」より「続けられる額」を優先
返済計画は、「今ならこれくらい払えそう」という感覚ではなく「数年間、継続して払える水準に抑えること」が前提です。
見栄や焦りから無理な返済額を設定すると、再度延滞してしまい、せっかくの和解が崩れてしまうおそれがあります。
弁護士は、家計の状況や今後のライフプランも考慮しながら、「完済まで続けられる返済ペース」を一緒に考えていきます。

まとめ:借金問題の「現在地」を描き直す作業
利息制限法にもとづく引き直し計算から返済計画立案までの一連の流れは、
いわば、「借金問題の―現在地―を正確に描き直し、ゴールまでの道筋を作るプロセス」です。
・どれだけ払いすぎていたのか
・本当はいくら残っているのか
・どのペースなら完済までたどり着けるのか

これらを明らかにしていくことで、漠然とした不安は減り、「この計画どおりに進めれば、数年後には借金を完済できるという具体的な見通し」が生まれます。

一人で抱え込むのではなく、借金問題に詳しい弁護士とともに、あなたの生活に合った無理のない返済計画を組み立てていくことが、解決への近道です。

 

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