任意整理を弁護士に依頼する時の流れ(3)

任意整理の手続き
任意整理を弁護士に依頼する時の流れ(3)貸金業者へ取引履歴の開示請求

弁護士による取引履歴の開示請求とは?基本の流れとポイント

1. 弁護士が受任通知を送付する
まず、あなたが弁護士に借金問題の相談をして正式に依頼(委任)すると、弁護士は「受任通知」という書類を各貸金業者に送ります。
これは「今後、この借金のやりとりは本人ではなく弁護士が窓口になります」という宣言のようなものです。
受任通知が届くと、貸金業者は法律上、次のような対応を取る必要があります。
・借金の返済を一時的にストップする
・電話や郵送などの督促・取り立てを中止する

そのため、長く続いていた督促から、ひとまず解放されることになります。

2. 弁護士が取引履歴の開示請求を行う
受任通知とあわせて、あるいはその後すぐに、弁護士は貸金業者に対し「取引履歴の開示請求」を行います。
取引履歴とは、次のような情報が時系列で記録されたものです。
・借入をした日付と金額
・返済をした日付と金額
・適用された金利や手数料 など

借金問題を正確に整理するためには、「いつ・いくら借りて、どのくらい返してきたか」という全てのデータが不可欠です。
そのため、取引履歴の開示請求は、任意整理や過払い金請求のスタート地点ともいえます。

3. 貸金業者が取引履歴を弁護士に送付する
開示請求を受けた貸金業者は、弁護士に対して過去の取引履歴をまとめた資料を送付します。
通常は、請求から1〜3週間程度で届くことが多いですが、以下のような要因で時間がかかることもあります。
・取引期間が長くデータ量が多い
・複数社から借金をしている
・貸金業者側の事務処理が混み合っている

1ヶ月以上かかるケースも珍しくないため、すぐに届かなくても「遅れている可能性がある」と考えて、弁護士と状況を確認しながら待つことが大切です。

4. 取引履歴が「一部だけ」のこともある
注意したいのは、貸金業者から届く取引履歴が「完全なものとは限らない」という点です。
・「保存期間を過ぎた」として、古いデータが抜けている
・取引を始めた初期のころの記録が含まれていない

といったケースが現実には起こり得ます。

こうした場合、弁護士は必要に応じて
・再度の開示請求
・「本当に保存されていないのか」という異議申立て

などを行い、できる限り正確な取引履歴を揃えるよう働きかけます。
借金の全体像をつかむためには、取引履歴の漏れや欠落を見逃さないことが重要です。

5. 弁護士が利息制限法に基づいて再計算する
取引履歴が揃ったら、弁護士はそのデータをもとに、利息制限法に沿った金利で借金の再計算(引き直し計算)を行います。
利息制限法は、借入額に応じて上限金利を定めている法律で、これを超える高金利で長期間返済していた場合、次のようなことが起こります。
・実際に支払う必要のない利息を払い過ぎていた
・元金がすでに完済されており、本当は「借金ゼロ」になっている
・逆に、貸金業者に対して「過払い金」を請求できる立場になっている

つまり、見かけ上「まだ借金が残っている」と思っていても、正しい計算をすると、実際には返し過ぎている可能性があるのです。
弁護士は、取引履歴を一つひとつ確認しながら、現時点の正しい債務額や過払い金の有無を明らかにしていきます。

6. なぜ取引履歴の開示請求がそこまで重要なのか
取引履歴の開示請求は、単なる「書類の取り寄せ」ではありません。
あなたのこれまでの借金生活を、事実に基づいて冷静に見直すための作業です。
・どの業者から
・いつ
・どれくらい借りて
・どのように返してきたのか

を数字で可視化することで、感覚ではなくデータにもとづいて今後の返済計画や債務整理の方針を決めることができます。

弁護士に依頼するメリットは、この一連のプロセスを専門家の目でチェックしながら進められる点にあります。
自分一人では把握しきれない細かい取引履歴の内容や、過払い金が発生しているかどうかといった部分も、法律に基づいて丁寧に確認してもらえます。

まとめ:借金整理の「土台」を作るステップ
弁護士による取引履歴の開示請求は、借金問題を根本から整理するための「土台づくり」のステップです。
1. 弁護士が受任通知を送り、督促が止まる
2. 弁護士が貸金業者に取引履歴の開示請求をする
3. 貸金業者から取引履歴が送られてくる
4. 不完全な履歴があれば、弁護士が再請求や異議申立てを行う
5. 弁護士が利息制限法に基づき再計算し、正確な債務額や過払い金を確認する

この流れを経て初めて、「今、本当にいくらの借金が残っているのか」「どのような方法で返済・整理していくのがベストなのか」が見えてきます。

取引履歴をきちんと開示させることは、過去の自分と向き合う作業でもありますが、それは同時に、これからの生活を立て直すための第一歩でもあります。
弁護士に相談することで、煩雑な開示請求の手続きや計算を任せながら、落ち着いて今後の方針を考えていくことができるでしょう。

 

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