突然の入院で返済ができなくなった場合、どうすればよいのでしょうか?
■民事再生計画案が認可されなかった場合
裁判所が再生案による返済の見込みがないと判断した場合や、小規模個人再生の申し立てで債権者の過半数や債権額の過半数が反対した場合、民事再生は認可されません。
この場合、民事再生手続は終了しますので、再生計画案を練り直し再申立てを行うか、自己破産または任意整理で債務整理を検討する必要があります。
尚、小規模個人再生手続は再申立てが可能ですが、給与所得者等再生手続は7年間再申立てができません。
■民事再生が計画どおりに返済できなくなった場合
再生計画の認可後に返済を怠ると、債権者からの申し立てにより再生計画が取り消される場合があります。
この場合、減額された借金は元に戻り、任意整理または自己破産を選ぶ必要があります。
ただし、事故や病気での長期入院、またはリストラで職を失い再就職が困難になったなどの「やむを得ない事情」があると認められれば、収入が断たれ再生計画に沿った返済ができなくなった場合、返済期間を2年間を超えない範囲で延長する再生計画の変更を申し立てることが可能です。
さらに、返済期間を延長してもなお返済が困難な場合、既に再生計画で定められた金額の4分の3以上を返済しているなら、自己破産せずに残りの借金の免責を裁判所に申し立てることができます。裁判所が免責の可否を判断し、免責が確定すれば残りの債務の返済は不要となります。(ハードシップ免責)
【ハードシップ免責とは】
日本の民事再生手続において、当初認可された再生計画に基づく返済が、予測不能な事情によって「極めて困難」になった場合に、残債務の全部または一部を免除してもらう特別な救済措置です。
当初の再生計画に従って返済を続けても残りの債務を履行できず、かつ条件を満たす場合に裁判所が判断します。
「手続きの流れ」
①債務者が裁判所に「ハードシップ免責」申立て
➁裁判所が申請要件を審査
③裁判所が聴聞などを経て「免責許可決定」
④決定日以降、残債務の全部または一部が免除される
尚、免責決定後7年間は再度ハードシップ免責を受けられず、破産申立て等への選択肢を検討する必要があります。
ハードシップ免責は、再生計画を極めて困難にした不可抗力的事情を抱えた債務者を救済する最後の手段です。
適用要件を厳格に満たし、裁判所の慎重な審査を経る必要がありますので、申立てを検討する際は、債務状況や返済実績を踏まえた上で、早めに弁護士などの専門家へご相談ください。