「損失回避バイアス」にご注意

思わぬ落とし穴

「損したくない」が、借金を増やしていないか?

「現金が減るのはイヤだから、今日はカードで払っておこう」
そんなふうに考えたことはありませんか。
実はこの発想自体が、借金地獄への入り口になっているかもしれません。

損失回避バイアスとは何か
私たち人間は、「1000円得をする喜び」より「1000円失うショック」のほうを、強く・大きく感じると言われています。
この心理的なクセが「損失回避バイアス」です。
・現金で払うと、財布のお金が目に見えて減る
・カード払いなら、その瞬間はお金が減った実感がない

この違いが、「現金払い=損している」「カード払い=まだ損していない」という誤った感覚を生み出します。
実際には、カードで支払った瞬間に「将来の支払い義務」という形の借金が発生しているにもかかわらず、です。

日常の「小さな選択」が借金を生む仕組み
例えば、手元に1万円ある状態で5,000円の買い物をする場面を考えてみましょう。
論理的に考えれば、その場で現金払いしても問題はありません。
ところが、損失回避バイアスが働くと、
「半分もなくなるのは不安だし、カードにしておこう」
「現金は万が一のために取っておきたい」

という気持ちが勝ちやすくなります。
こうして「今は減らしたくない」という理由だけでカード払いを選ぶクセがつくと、毎月の請求額は徐々に膨らみます。
・翌月、カードの請求が想像以上に多い
・全額払えずにリボ払いに変更する
・他のクレジットカードやキャッシングにも手を出す

この流れが積み重なると、「借金が借金を呼ぶ」状態になり、やがて多重債務に陥ってしまうこともあります。
きっかけは、ほんのささいな「現金を減らしたくない」という心理だったのに、その先には重い返済負担が待っているのです。

「今の損」ではなく「トータルの損得」で考える
損失回避バイアスから抜け出すには、「目の前の減少」ではなく、「全体として自分が得か損か」で考える視点が重要です。
・現金払い:その場でお金は減るが、借金は増えない
・カードのリボ払いや分割払い:その場は楽だが、利息という“見えにくいコスト”が積み上がる

とくにリボ払いは、心理的負担が軽く感じられる一方で、利息が長期間かかり続け、最終的には「商品代金よりも利息のほうが高くついた」というケースも珍しくありません。
「損を避けているつもりが、長期的には大きな損を選んでいる」――まさに損失回避バイアスがもたらす典型的なパターンです。

損失回避バイアスに振り回されないための工夫
損失回避バイアスそのものは、人間なら誰でも持っている自然な感情です。
大切なのは、その存在を知ったうえで、行動を少しずつ修正していくことです。
例えば、次のような工夫が役立ちます。
「カード払い=未来の自分への借金」と意識してから決済する
「現金で払える額かどうか」を、カードを使う前の判断基準にする
クレジットカードの利用残高や利息を、月に1回は確認する
「今、減らす不安」と「将来の請求に追われるストレス」を天秤にかけてみる

こうした習慣を持つことで、「なんとなくカード」「なんとなくリボ払い」といった無自覚な選択が減り、借金や多重債務のリスクを抑えることができます。

「未来の安心」を基準にお金と付き合う
お金との付き合い方は、本来もっとシンプルでいいはずです。
その場の不安や「損をしたくない」という気持ちに流されるのではなく、
・未来の自分がラクになる選択か
・トータルで見て、損得はどうか

という視点を持てると、判断基準が安定してきます。

歩くたびに水位が変わる不安定な川よりも、一定の流れの穏やかな川のほうが安心して渡れますよね。
お金の流れも同じで、「今だけ得した気分」を追いかけるより、「無理なく続けられる支払い」「借金に頼らない生活」を意識したほうが、結果的には心も家計も安定します。

損失回避バイアスという心のクセに気づくことは、借金や多重債務から自分を守るための、最初の一歩です。
「損したくない」だけでなく、「安心して暮らせる未来」を軸に、お金との距離感を少しずつ整えていきましょう。
 

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